top of page

【総合商社内定者が語る】ケース面接対策(商社編)



はじめに


総合商社の中でも三菱商事、三井物産を受けるにあたって必ず直面するケース対策。戦略コンサル内定者でも落ちることもある総合商社のケース面接について、過去の具体例と共に学んで行きましょう。


目次

  1. 総合商社の選考におけるケース面接とは

  2. 例題「5年で鳥取の人口を10万人増やすには」(三井物産・インターン面接)

  3. 三菱商事過去問

  4. 三井物産過去問

  5. 最後に


1. 総合商社の選考におけるケース面接とは


先ほど「戦略コンサル内定者でも落ちることがある」と述べましたがなぜでしょうか。この答えは求められる能力に違いがあります。


一般的に、コンサルの選考ではいかに論理的に物事を思考できるか、といった論理的思考を測る目的に対して、総合商社の選考では対話力、世の中にあふれている課題に対してどれだけ柔軟に新規の案を出せるかといった能力を測る目的でケース面接が行われています。


特に総合商社のケース面接は思考の時間が2~3分しかないので、いかに早くお題について考え、アイデアを出すかが求められます。それではケース面接をステップごとに見ていきましょう。


2. 例題「5年で鳥取の人口を10万人増やすには」(三井物産・インターン面接)


Step.1 前提の確認


お題によっては今回の例題のように厳密な条件が与えられていないことがあります。ケースを始める前に以下の2点は最低限抑えましょう。


①主体の特定


商社のケースの場合は主体を一つに絞る必要はありません。前提の時点で、思考の枠を狭めすぎるとこの後の施策出しで思考の柔軟性が損なわれてしまうことから、あくまで前提を確認する程度で大丈夫です。今回のお題に関しては「5年で人口を増やす」というものなので、行政が主体で思考を進めて良いと思います。


②目標の設定もしくは確認


2~3分という短い時間で施策を出すにあたって、忘れてはいけないのが目標の設定もしくは確認です。今回の例題では「5年で10万人」と与えられていますので、確認のみで大丈夫です。この目標の設定、確認を忘れてしまうと、施策が明らかに設定された期間と大きくずれてしまったり、実現可能性が著しく低かったりと面接官からみて支離滅裂な施策の提案になってしまう恐れがあるため、必要不可欠な手順となります。


Step.2 現状分析


施策を考える前に重要となってくるのが、この現状分析です。現状を正しく把握してボトルネック(一番の課題)を突き止めることが、効果的な施策出しに直結します。この現状分析なしでは施策がただのアイデアの羅列になってしまいます。


冒頭でも言及したように、総合商社のケース面接は対話力、世の中にあふれている課題に対してどれだけ柔軟に新規の案を出せるかといった能力を図る目的で行われます。しかし、この効果的な施策出しには、どれだけ論理的に物事を捉えられるかといった能力が必要となることから、どのようにして現状分析を行うのか例題を使って見ていきましょう。


今回は人口を増やすということで、そもそも人口はどのようにして変化するのか、構造化をして考えます。


(人口の変化)

=(増加)+ (減少)

={(生まれる)+(移住してくる)}+{(亡くなる)+(引っ越しで流出する)}


今までコンサルの面接に向けてケース対策されていた方はこれだけ?と感じているかもしれません。あくまで筆者の意見ですが、この粒度で大丈夫です。重ね重ねになりますが、総合商社では対話力、柔軟な思考力・施策出しが求められていることから、2,3分という時間制限があるなかで現状分析には1分くらいしか使えません。あくまで現状を構造化し、施策を出す足がかりですのでこのくらいで大丈夫です。


Step.3 施策出し


Step.2で現状を正しく把握してボトルネックを突き止めることが効果的な施策出しに直結すると述べましたが、課題を一つに絞る必要はありません。短い時間の中で、Step.1で確認した目標に対する実現可能性も考慮にいれつつ施策を考える必要があるため、一つの課題にしては思考が凝り固まってしまいます。それでは先ほど現状分析で構造化したものを使って具体的に考えてみましょう。


(人口の変化)

=(増加)+ (減少)

={(①生まれる)+(②移住してくる)}+{(③亡くなる)+(④引っ越しで流出する)}


先ほどの構造化に①、②を追加しました。施策を出す時に、そもそも先ほど考えた課題は本当に解決出来るものかどうかを考えることをおすすめします。答えのない課題を考える時間はありませんので。今回のお題ですと、①(生まれる)は日本全体として人口減が進んでいる中で5年でなんとかなる問題なのでしょうか?時間があれば施策を考えてもいいかもしれませんが、時間を考えるとスキップするのが賢明でしょう。面接の中で面接官になぜ生まれる人数を増やす施策は考えなかったの?と質問されることを想定して、理由を述べられれば大丈夫です。


では③(亡くなる)を減らすについてはいかがでしょうか。これも長寿化を促進する施策等考えれば出来るかもしれませんが、5年という目標設定を考えると実現可能性が低いのでこの課題もスキップするのが良いのではないでしょうか。


では②移住してくる、③(引っ越しで流出する)、この2つの課題についてもう少し考えてみましょう。ここで2つの課題について急に言及してきたと思う方もいるかもしれません。しかしこの課題は結局のところ、魅力的な施策さえだせれば人は移住してくるし、引っ越しも止められるかもしれない、ということでいっしょくたに考えてみましょう。


ここまで来るとしつこく感じてしまうかもしれませんが、商社のケース面接は本当に時間との勝負です。細かいことは考えず、まずは一旦②(移住してくる)、③(引っ越しで流出する)、この2つの課題を考えてみましょう。


(人口の変化)

=(増加)+ (減少)

={(①生まれる)+(②移住してくる)}+{(③亡くなる)+(④引っ越しで流出する)}


(②移住してくる+④引っ越しで流出する)

=(*世帯主の要因)+(**その家族の要因)


ここまで来たら、頭を柔らかくして

(1)*企業の誘致,(2)*制度改正(テレワーク等),(3)**地方手当(子育て支援等),(4)**治安


上記のように考えてみましょう。3分の思考時間で余裕があったらそれぞれの案についてもう少し考えます!もし時間切れになってしまったら、焦らずここまで考えましたと伝えれば落ちることはありません。


Step.4 施策の検討


先ほど記載したように、施策の検討は時間がある場合で構いません。時間がある方は考えてみましょう。ここでStep1.②で確認した目標を考慮しつつ案の検討に移ります。


今回のお題で、目標は「5年で10万人を増やす」でした。では一つずつ検討しましょう。


(1)*企業の誘致


企業誘致に伴い、世帯主、その家族が鳥取へ引っ越してくる可能性が高いです。企業誘致で工場も5年あれば建設が可能であることから実現可能性はまあまあと考えます。


(2)*制度改正(テレワーク等)


制度改正でテレワーク等の整備で地方移住で人口が増やせるのでは、と考えました。ただテレワークの整備を県外の企業に行うのは難しいですし、テレワークになったからといって鳥取に引っ越すかはまた別の話なので、施策としてはいまいちですね。


(3)**地方手当(子育て支援等)


鳥取を住みやすい県にすれば魅力不足によって県外の流出が避けられますし、引っ越しも増えるかと思い施策として考えました。しかし他にも手当がしっかりしている県はありますし、実現可能性はありますが効果的とは言えません。


(4)**治安


日本全体といて治安はいいので、例えばスマートシティ誘致に立候補して最先端の安心安全の町!のように宣伝しても面白いですが、5年という期間を考えると関係者を巻き込み、企画して建設まで実現は難しいですね。


以上を考えて、私は実際の面接では(1)*企業の誘致を施策として発表しました。


Step.5 面接官との問答


もしここまでのStep1~4で焦って納得のいく施策が出来なくても諦めないでください!!このStep.5面接官との問答が一番重要といっても過言ではありません。商社の面接において学生の論理的思考力や創造力はもちろん見られていますが、何よりも大事なのはこの子がチームにいてくれたら、と思ってもらえることです。1人では思いつかないような案を面接官と一緒に考えていくことで人柄だったり、自分をアピールしましょう。


その際私がやらないように意識していたのが次の2点です。①考え込みすぎて面接官との会話にならない②とりあえず食らいつく(ex.でも~、しかし~)③イエスマンになる(ex.仰る通りですね!で会話が終わる)面接官も人なので緊張しすぎず、頑張って笑顔で食らいつくように意識していました。③のイエスマンになるは意識しないと結構行ってしまいます。面接官の指摘が予期していないもので、仰る通りです、、となることもありますが、その上ででは~~はどうでしょうか?のように会話を続けるよう意識しましょう!


では実際に面接で聞かれた内容に移ります。


1分での発表だったので、施策とその理由くらいしか伝えてありません。


Q1.なぜ引っ越してくる、流出するといった構造化に対して、案を一緒に考えたんですか

Q2.他にはどんな案を考えたの?それにしなかった理由は

Q3.企業の誘致確かに良いと思うけど、どんな企業があるかな

Q4.鳥取みたいな県があるけど、そことの差別化は?


こんな感じの質問が来ました。私の回答は以下です。


Q1.なぜ引っ越してくる、流出するといった構造化に対して、案を一緒に考えたんですか?


引っ越してくる、流出するといった行為の裏側にはその県が魅力的かどうかなので、魅力を増やす案に一旦絞って考えました。実際に決めた案が魅力の増幅かは怪しかったので、企業誘致に加えて、地方手当などさらに住みやすい街づくりをしていくのが良いと思います、と付け加えて話しました。


Q2.他にはどんな案を考えたの?それにしなかった理由は?


これに関してはStep.4に書いたことをそのまま話しました。


Q3.企業の誘致確かに良いと思うけど、どんな企業があるかな?


鳥取県、とわざわざ明記されていたのに焦ってその時の私は企業選定まで考えられていませんでした。そのため、1分下さいといって考えた記憶があります。回答としては鳥取は中国や側の海に面しているので、中国と取引のある海運会社を誘致することを挙げました。もちろん、誘致ってそんなに簡単ですかね、とつっこまれました。そこでQ.4の質問が来ました。


Q4.鳥取みたいな県があるけど、そことの差別化は?


差別化については考えていなかったし、難しいですね、と正直に話しました。そのうえで鳥取は地方で土地も空いていく傾向にありますし、誘致のために安い価格で土地を提供することで他の県より優位に立つと考えました。これだけでは、足りないかなと考えたので、短期的には土地の提供で企業誘致をし、人口を増やした上で長期的に土地の魅力が上がるような施策を行っていく、と答えて面接が終わりました。


ここまでいかがだったでしょうか?コンサルを受けている方は現状分析これでいいの?と思う方もいるかもしれませんが、大丈夫です!!しかし施策を出す上で社会に対する知識や自分なりの見解を日頃から持っておくと幅が広がり良いと思います。変な質問が来ても焦らず誠実に答えれば大丈夫です。ではここから企業ごとの過去問を参考までに記載しておきます。ぜひチャレンジしてみてください!


3. 三菱商事過去問


三菱商事は先ほどの例題と違って新しいビジネスを創出する問題が多いので、日頃から新聞やニュースを見ることをおすすめします。


  1. 新しい機内サービスを構想せよ

  2. アフターコロナで変わる産業とその成長戦略

  3. ホテル事業と相乗効果が見込める新規事業

  4. デジタル化が遅れている産業で、どのような発展が可能か

  5. 映画館とシナジーが創出できるビジネス

3.三井物産過去問


三井物産は例題のように数値設定されている問題が多いので目標の確認と目標に対する施策の実現可能性を常に考慮に入れましょう。

  1. 日本の食品ロスを3年で30%削減するための企画

  2. コロナの影響でテレワークが進んだ世界でテナント事業を1.5倍にするには

  3. 少子化が進む中で、5年間で幼児教育市場を1.3倍にするには

  4. 小学生の読書量を2倍にするには

  5. コロナ後5年間で観光業を1.5倍にするには

4.さいごに


ここまで偉そうにケース面接について書いてきましたが、私はケース面接が苦手で嫌で仕方ありませんでした。でも実際の面接は面接官の方と自分の施策をブラッシュアップしていく過程がすごく楽しくてビジネスってこういう風に作るのかな、とわくわくして終わった記憶があります。ケース面接はいろんな参考書があってどれを読むか悩むかもしれませんが、一番大事なことはケース対策する友人を見つけることです。商社は6月面接解禁とメンタル的にもきついことが多かったです。一緒に対策する友人をぜひこの半年で見つけて頑張ってください。応援しています。


〈+α〉おすすめ著書

・東大ケーススタディ研究会著『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化』




Opmerkingen


現在開催中のイベントはありません
bottom of page